傍ら。

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ケンさんは何かを言っている途中で口を噤んだ。どうしたのだろうと私は目をぱちくりとさせて「ケンさん?」聞き返す。ケンさんは私に目を合わせると、お迎え、と小さく囁いてきた。 ――お迎え?私に? 何のことだかさっぱりで首を傾げると、ぐいっと後ろに手が引かれ身体こと持って行かれた。 倒れる……!そう思って思わず目を瞑ると、背中が誰かにぶつかった。後頭部に固く小さな感触――ボタンだろうか。目を開けたら、ケンさんが口元を隠して笑っていた。お迎えってこんな危ないこと?私は恐る恐る振り向いて顔をあげ、目を見開いた。 「永至……?」 「ん」 「何してるの?ぶ、部活は?」 「今日はPTAで体育館使うから、早く終わった」 永至はそう言って私の肩を押し、きちんと立たせると「――未来は」「え?」「未来は何してたの。ケンさんと」一瞬ケンさんを見てから、すぐに私を見て目を細めた。 「お、お土産渡して、ここでソフトクリーム食べながらお話してた」 「お話……?」 「そう、お――お話」 永至のあんなことを聞いていたなんて言えるわけがない。永至が言っていた台詞を思い出し、「――っ」私はみるみるうちに顔が赤くなっていった。 「お、おい?何話した――」 「はいはいストップストップ」
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