傍ら。

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「そうだったんだ……」 最後に食べたのは小学校、いや、中学校の時だったかな。……懐かしい。思わず頬が緩んで笑うと、永至が何だ、と首を傾げた。 「懐かしくて。永至と食べたソフトクリームは一番美味しかった。今までで」 そう言うと、永至はピタリと足を止めた。私もつられて足を止め、永至を見た。 「ケンさんと食べてただろ」 「そ、そうだけど……」 「同じだろ」 そうだけど――違った。同じじゃなかった。本当に永至と食べたソフトクリームの方がはっきり美味しいと思えたのだ。 何と言っていいのか分からず目を泳がせる。更に私は、永至が怒ってることに気づいた。ソフトクリームのこと、馬鹿にしてると思われたのだろうか。そ、そうじゃないのに。 そうして焦っている私の横で永至が動いたのが分かった。「……未来」「っ、」突然両手を握られて、私は考えていたことが吹き飛んだ。 「俺、本当に嫉妬深くてガキみたいだから」 「え……」 「よくわかんねえんだよ、付き合うとか……。ずっと未来しか見てこなくて、正直関係が変わってから自分にびっくりしてる部分も多い。――分かる?」
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