傍ら。

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尋ねられて私はすぐに答えることが出来なかった。永至は何にびっくりしてるのだろう。 「きっと未来が思ってるほど優しくない。今だってすげえケンさんに妬いてるし……」 私と永至の繋がれた手を見ながらぼそりと言う永至に目を丸くする。「自分がおかしいのは分かってるけど――」続ける永至に「おかしくないよ。私もだよ」答えた。 「え……」 「私もきっと永至を一人占めしたいって思ってる――怖いくらい。」 「…………」 「自分の傍にいてほしいって思う分、全部嫉妬とかわがままとかになっちゃう気がする。嫌われるかもしれないのに。それが一番怖いのに……」 声が震えた。私だって、決して純粋とは言えない感情を潜ませているのだ。独占欲――というものなんだろう。その言葉にゾッとした。 私は一つ息を吐くと「わ」頭をくしゃりと掴むように撫でられた。 「……そんな簡単に壊れるものなのか。俺達」 そう言った永至の表情は笑顔だった。分かっているくせに、そう思いながらも私は、ううん、と首を横に振った。 「腹減った、帰ろう」 「うん」 「……今度食べに行くか。ソフトクリーム」 「うん」 幼いころから歩き慣れた道に伸びる二つの影。その影は分かれずに、手と手で繋がっていた。昔もこうして歩いていた。変わったのは、影の大きさとその差。 「美味しくて、とても甘いよ。きっと」 終。
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