扉。

2/9
前へ
/195ページ
次へ
制服を着て、家を出る。向かいの家に目を向けたら、銀色の自転車があった。 ……まだいるんだ。 それだけを思うと、私は学校へと向かった。 教室に入って特に誰に挨拶するわけでもなく、席に着いた。クラスにはほとんどの人がいる。登校時刻の5分前にくるからだろうけど。 「おはよう未来」 「おはよう」 私に挨拶をした綾は、斜め前の席に座った。 綾は高校入学した当初、隣だったから、自然と仲良くなった。そして二年生でも同じクラスになった。 「綾、またピアス開けたの?」 「あっ、分かる!?実はさー、彼氏にピアス貰ってね、ついでだから穴増やしちゃったんだ」 綾はそう言って笑うと、髪を寄せてピアスを見せてくれた。赤く光る綺麗なピアスだった。 「未来も開けなよ。絶対似合うし」「私は、いいよ」首を横に振ると綾はつまらなそうな顔をした。 綾と私は見た目からして対照的だ。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加