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一日は簡単にいつもどおり過ぎた。私は一人で玄関に行くと、永至が急に現れた。私は目を丸め足を止める。
「未来、お前――」
「永至ー!今日カラオケいかなーい?」
永至の声をかき消すような高い声が玄関に響いて、言葉の続きが分からなかった。後ろから女の子二人が永至に歩み寄ってきて、私の存在に気付いたのか、不思議そうにこちらを見てきた。私は俯く。
「健吾も一緒なんだけど……どう?」
「カラオケ?」
「そう。ひさしぶりに」
楽しそうに会話をする三人。私は存在しないみたいに。そっと私は自分の靴箱へと足を進めた。
靴を取り出して履き終えたと同時に、「えー、今度絶対ね」つまらなそうな声がしてから立ち去る足音がした。私は立ち上がって扉を開けようとしたら「待った、未来」腕を掴まれた。
「な、何?」
「いや……どうせだから一緒に帰ろうと思って」
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