扉。

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永至の言葉に私は目を丸くした。掴まれた腕を見ていたらすごく恥ずかしくなって俯いた。 「友達と帰ればいいじゃん。私、買い物行かなきゃいけないし……」 「買い物なら手伝う。それに母さんが今日は未来も呼べって」 「い、いいよっ!迷惑かけらんない。食費だってタダじゃないんだよ」 首を横に振って拒否すると永至は「何を今更」と呟いた。グイッと腕が引っ張られて私の足は自然と動いた。 半ば引きずられるように歩く。「え、永至っ――ちょっと待って」永至は私の声など聞こえていないのか、とにかく無言で歩き続けて校門を通過した。途中、いろんな人に見られたり、永至の友達らしき男子数人に冷やかされた。永至は舌打ちをして「うるせえ」とだけ言い、足を止めなかった。 強い力でビクともしない。永至の広い背中を見つつ歩いていたら、自然と抵抗をやめていた。
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