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周りの奴等と視線を合わせたくなくて、顔を伏せて目を閉じていた
渦巻く思いと葛藤して…不意に、自分の名前が耳に入ってきた
「フェイド?フェイド?」
気付いて顔を上げると、アルスが目の前に立っていた
「大丈夫?もしかして寝てた?」
「あ…あぁ。いや、聞いてたが、気分が悪くなって…もう大丈夫だ」
「大丈夫?保健室行く?」
周りを見ると、他の奴等はいなくなっていた
もしかして、俺が気付くまで待っていてくれたのか?
どんなけ意識飛ばしてんだよっ!
「悪い」
アルスに気を遣わせたのも、自分が逃げるように意識を反らしたのも恥ずかしくて、顔が赤くなってないか気になる
机の上には、開いたままの教科書とノート
授業中の居眠りを疑うのも当然か…気をつけよう
慌てて教科書を片付ける俺を見てか、アルスがクスッと笑った
からかうような悪気のある笑いじゃなかったが、アルスに笑われたのが恥ずかしかった
「いいよ。急がなくて。次は守護魔術だって。今日みたいな授業だといいんだけどね…実習室って言ってたから…」
「そうか」
アルスの表情が曇った
実習室ってことは、実技をやるんだろう
魔術に不安があると言っていたからな
守護魔術でそれだと、先が思いやられるぞ
そう言う俺もエルバ先生の授業はもう受けたくない
絶対、光属性の魔術師に憧れを持っているに違いない
確かに…光属性に憧れる者は多いが、あれは異常だ
毎度、あのペースでやられたら身が持たない
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