プロローグ

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「全軍後退!」 爆発音が鳴り響く中、誰かが叫んだ おそらく指揮系統の軍人だろう このまま前線にいたとして助かる保障はない だが、その命令に従った者は半数ほど… 皆、分かっていたのだ 例え後退しても助からない…と 守護障壁にはヒビが入り、今にも崩れ去ろうとしていた 黒煙りで見えないその先に、魔族の軍に存在感があった ヒシヒシと感じる圧倒的な魔力の存在が… 「全滅だ!何もかも!」 嘆く声が聞こえる 守護障壁の亀裂は両断するように大きくなっていく 戦場にいる誰もが、自らの最期を予感した パリーン 守護障壁が割れる音が響く もろくも崩れ去る守護障壁に、視線が注がれた 破片が散ると同時に、前方を遮る黒煙りが揺らぎ 遥か先、魔族の軍から、黒煙りを切り裂くように放たれた黒い光線が人間の軍に襲いかかる 多くの者が自分の死と この敗戦により失われていくであろう命を思い歎く 愛する者への愛情を…
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