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「ありましたよ、柵が。それがどうしました?」
思ったより早くたどり着いたようだ。
駄目刑事のなりをしているが、田島は決して、中身まで駄目刑事ではない。
いや、もしかしたら署内で一番頭が切れるのではないかとさえ、仁科は思っていた。
しかし。
「ふふふふふふ」
不気味な笑い声でにやけだす田島を見やって、仁科はそっとため息を漏らす。
(言動が、何ていうか、頭悪そうなんだよなあ)
田島が聞いたら激高しそうな印象である。
「わかったぞ」
おもむろに、田島が言った。
「女房が俺を殺したトリックがわかった」
(すっかり感情移入だ)
いつの間に死んだんですか?とつっこみたい所をぐっとこらえて、仁科は田島の推理を待った。
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