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それを見た田島は、頭をばりばりとかきながら気まずそうに弁解する。
「しかたねえだろう。俺はパソコンいじれねえし。恨むなら小せえことでいちいち始末書書かせる行政を恨め」
「そうですね。仕方ないですね。書類仕事が多いのも、その半分以上が自分の仕事じゃなくて田島さんの仕事なのも。
しかもその大半が田島さんが「小せえ」とか思ってる破壊行為や、強引な調査、独断と偏見とカンだけで反射的に動いちゃう独自捜査の始末書なのも。
短絡的な先輩と組まされてしまった私の可哀想な不運も、しょうがないことですもんね」
ああ、しょうがないのかあ、とわざと大げさに嘆いて見せると、さすがに田島はバツが悪そうに席を立ち上がった。
「な、何か飲むか?奢ってやるぞ。コーヒーか?」
短絡的、である。
もうわかりやすすぎるフォローに苦笑して、仁科はちら、と手元の時計を見た。
朝7時。
(そうだな。少し気分転換でもするか)
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