僕の父を紹介します

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最近、オレの車は怪しげな雰囲気をかもし出しています。 というわけで、 父と二人で自動車屋に行って点検してもらうことにしました。 点検が一時間ぐらいかかるということなので、 オレと父は待合室的なところにいました。 父と二人きりの一時間… どうやって過ごそう… … … …なんも思い付きません 仕方がないので、近くにあった雑誌でも見ることにしました。 問題 「木曜日の次の日は?」 …そんな雑誌を見てました。 父の前で、フライデーを見るのはなんとなくイヤでした。 エロいと言えばエロい エロくないと言えばエロくない そんなビミョーな雑誌を父の前で見れるようになった、 二十歳のオレ いまだに少年ジャンプを買ってる、 二十歳のオレ なぜか頻繁に納豆のおつかいを頼まれる、 二十歳のオレ 盗んだバイクで走り出せない、 二十歳のオレ リアルピーターパン症候群、 二十歳のオレ 牛乳とコーヒーのハーモニー、 カフェオレ 情けを受けるようでは、 武士の名折れ そんなオレをこしらえた、 偉大な父… そんな偉大な父は、 オレが読み終えたばかりのフライデーを手に取りました。 そんな偉大な父が、 オレが読み終えたばかりのフライデーを読み始めました。 オレはその行く末を見守っていました フライデーを読む父 フライデーを読む父の行く末を見守るオレ オレに行く末を見守られてることも知らずにフライデーを読み続ける父 フライデーを読みふけってる父の横でさっき読んだフライデーの内容を思い出して父が今どこを読んでるか予想するオレ そんなオレのよくわからない目論見を知ってか知らずかなおも真剣な表情でフライデーを読むことだけに集中し続ける父 観るオレ 見る父 二十歳のオレ… 四十六歳の父… オレたち、親子 父はいよいよ、袋とじのとこにさしかかりました。 …たしかその袋とじは破れてたはず もしかしたら、 初めて父が袋とじの中を見るところを見るかもしれません。 「父、フライデーを見る」 「父、袋とじの中を見る」 「父、それを息子に見られる」 …うふふ そして、 父がおもむろに、 開いてある袋とじに手をかけた、 そのとき! 店員「点検、終わりましたー」 …もう!
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