僕のイヨ子を紹介します

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どうも、孫を愛するイヨ子を愛する、孫です。 おばあちゃんは、若干、耳が遠いです。 「若干」、というのが大事です。 〔タクシーにて〕 ある日、おばあちゃんと二人でタクシーに乗りました。 オレはそうでもありませんが、おばあちゃんは積極的に運転手と会話するタイプです。 イ「今日、いい天気だねぇ」 運「そうですねぇ。やはり天気いいと気持ちいいですよね」 イ「そうだねぇ。最近雨多かったしねぇ」 運「天気いい日はどっか出かけたりするんですか?」 イ「ほんとにねぇ」 …ん? …話題振っといて、丸投げ? …おばあちゃんに代わって、オレが運転手に謝りました …もちろん …心の中で 〔姉の結婚式にて〕 姉が結婚式で、おばあちゃんにサプライズをしました。 司会者がおばあちゃんを壇上に呼び、姉が花束を渡すというものでした。 司「おばあちゃん、是非、壇上へ」 …ちなみに。 たぶん意味はわかってなかったと思いますが、司会者が「おばあちゃん」と言った時点で泣き出していました。 司「楽しいとき、つらいとき、いつもそばにいてくれたのは、おばあちゃんでした」 イ「ありがとう、ほんとにありがとう(涙)」 司「そんなおばあちゃんのためにお孫さんである新婦から、花束贈呈です!」 わきあがる拍手 壇上で抱き合う、姉とおばあちゃん …ええ話や 司「おばあちゃん、おめでとうございます」 イ「ありがとねぇ(涙)」 司「いいお孫さんお持ちになりましたね」 イ「ほんとにねぇ(涙)」 司「ところで、おばあちゃんはおいくつになられるんですか?」 イ「ほんとにねぇ」 …ん? …まさか? …ここで? 司会者、思わずの苦笑い。 その空気に気付いたのは司会者とうちの家族だけでした。 壇上の姉と目が合う。 二人とも、思わずの苦笑い。 …いいかんじに出そうだった涙も急いで引き返しました。 涙「なんか、空気違うから帰るわ」 俺「あぁ、悪いな。久々に来たのに」 涙「いや、いいよ。また今度な」 俺「ん、またな」 …おばあちゃんに代わって、オレが司会者に謝りました …もちろん …心の中で …オレも姉も、そんなおばあちゃんが大好きです
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