市川 将太

12/17
前へ
/443ページ
次へ
バチッ 盗み見ていた筈の俺の目と、卓の目がバッチリと合う。 「……お前、今すっごく失礼な事考えて無かったか?」 す、鋭いっ! 「ななな何にもっ。今日の昼メシ何にしよっかなーって考えてただけだよ!」 「………」 卓の両の目は、たじろいで泳ぎまくっている将太の目を疑わしげに捉える。 というか、将太の様子からは、将太の発言が嘘であることが丸分かりだった。 卓は、はぁ…と短くため息をつくと 「…ま、そういう事にしといてやるよ」 また視線を廊下の奥に戻して、スタスタと歩き始める。 よかった! バレてないみたいだ! 「卓、待ってー!」 将太は飼い主についていく犬のように、慌ててその後ろ姿を追い掛けた。  
/443ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1472人が本棚に入れています
本棚に追加