市川 将太

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(…卓…俺に気ぃ遣ってくれたのかな) 円香の世話をしていることは、家族以外では卓しか知らない。 別に隠しているワケじゃないけど… あえて話すことでもないかと思っている。 何か…… 何か……… 「卓っ! 大好きだー!」 「! わっ! てめっ、ショータっっ! 離せ!」 「いやっ、離さないー!」 黙々と何食わぬ顔で弁当を口に運ぶ卓に、抱き着く。 力の限り抵抗されたが、それでもぎゅうっと抱きしめる。 クラスメイトはそんな将太と卓の様子を温かく見守る。 初めこそ将太の騒がしさに振り回されていたが、今ではすっかり馴れたものだ。 「…でも、大丈夫なのか?」 「ん?」 ようやく将太を引きはがした卓は、乱れた髪を撫で付けながら将太に問う。  
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