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…何となく教室に戻る気がしなくて。
将太は屋上に向かっていた。
普段はほとんど使われていない階段を重い足取りでのぼる。
(今…卓の顔見れねぇ…)
将太はさっきの出来事を思い返す。
1ヶ月以上頑張って、ようやく少し話してくれるようになった晴美と。
――卓はあまりにも簡単に笑い合っていた。
その事実が胸を焦がす。
…この気持ちの名前を俺は知ってる。
屋上に続くドアを開けると。気持ちとは裏腹に、ひどく眩しい夏の陽射しがそこにあった。
自分の中のジメジメした暗い気持ちも、太陽に乾かして欲しい。
そんな事を考えながら将太はゆっくりとフェンスに近付いた。
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