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壁の装飾を眺めながら、ティアはこっそり溜息をついた。
ここは、いかにも場末のバーといった雰囲気の店だった。
カウンターで隣に座るユファレートは、困ったような愛想笑いを浮かべている。
さらにその隣の、どこか軽薄な印象を受ける男は、饒舌だった。
ティアはまた、溜息をついた。
男はユファレートばかり気にかけているため、気付く様子はない。
ここ港街フレンデルは、ヘリク国第二の都市で、玄関口に当たる街だった。
活気に溢れ、夜になっても、人の営みが途切れることはない。
だが、今夜は少し変だった。
ティアたちは、繁華街の外れに宿をとっていた。
夕食を外で済ますことになったが、他の店は妙に早く灯を落としていた。
だから、このバーに入った。
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