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窓を雪が叩く。
山小屋全体を揺さ振るような、強い風だった。
「……本格的に吹雪いてきたわねぇ」
外を眺めながら、何気ない口調でユファレートが言った。
「予報じゃ、今日は荒れるってなってたもんね」
「う……」
暖炉の火が爆ぜる。
「あと一日、フレンデルにいるべきだって、わたし言ったんだけどなぁ……」
「あーもう! あたしが悪かったわよ!」
フレンデルからヘリクハイトへ至る道は、三通りある。
ひとつは山間部を通るルート。
道は険しいが、半日も歩けばヘリクハイトに着ける。
あとふたつは、山を避けて北か南の海岸線を進むルート。
かなりの大回りとなるが、他の街を経由するため、安全だった。
今日出発することも、山間部のルートを通ることも、ティアが決めたことだった。
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