ナルシス・ノワール

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あなたは兄様の友達 白い頬をした少年 私憧れていたの たとえどんなに邪魔にされても 茨の庭を追いかけたけれど あなたの瞳(め)にはいつも兄様が映ってた 扉(ドア)の陰から抱き会うふたりを初めて見たときとても綺麗で胸が騒いだ ナルシス・ノワール 何も知らぬ少女の日の初恋よ ナルシス・ノワール 今も甘いあなたの声が聞こえる ある日兄様は家を出て あなたはも二度と来なかった 母様は歎き悲しみ 家には灯(あかり)もともらない 大人になるまで知らずにいたわ 町外れの湖にふたりは沈んだと 神に背いた愛の報いだと 人々は囁くけどわたしは目を閉じるだけ ナルシス・ノワール 湖のほとりそっと咲いた水仙は ナルシス・ノワール あぁどんなにあやしく香ったでしょう ナルシス・ノワール あれからわたしどんな男(ひと)も愛せない ナルシス・ノワール 今も変わらぬあなたの姿がみえる ナルシス・ノワール 何も知らぬ少女の日の初恋よ ナルシス・ノワール 今も甘いあなたの声が聞こえる
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