その 夢見がちな女の子は・・・

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しばらく漕いだところで、灯里が声をかけてきた。 「アクアちゃん、そろそろお昼になるし、ARIAカンパニーに戻ろっか」 「はい」 「私、おなか空きました」 時刻は11時を過ぎ、あれから割と時間が過ぎていたようだ。 「昼食は、せっかくだから何処かに食べに行こっか」 美味しい店がたくさんあるから、と灯里が提案してきた。 「せっかくですから、藍華さんやアリスさんも呼んではどうでしょうか?」 「いい案だけど、今日は2人とも仕事が忙しくて。愛梨ちゃんとアイスちゃんは?」 「ええと、あの2人はーー」 「アイーーー!」 「あ!」 噂をすれば、向こうからそのウンディーネたちがやってきた。 「愛梨ちゃん、どうしてここに?」 「なによ、いちゃ悪いの?」 「別にそういうわけじゃないけど」 「じゃあいいじゃない。ねえ、アイス?」 「アイは別にそういうつもりで聞いたわけじゃないと思うけど。2人で練習してたら偶然見かけただけよ」 「そうなんだ」 「ところで、そちらの人は?」 アイスの視線の先には、微動だにしないアクアがいた。 「ああ、この子はーー」 「あ、アクア・マリナです! 昨日からARIAカンパニーの社員としてウンディーネになりました! よ、よろしくお願いします!」 (むちゃくちゃ堅すぎだよ、アクア・・・) アイの心の呼びかけには当然答応えず、アクアは愛梨とアイスをに深くお辞儀をしている。 「この人たちは私たちと同い年で同期だから、そんなに畏まらなくても大丈夫だよ」 「こ、こういうのがもう、癖になったみたいで・・・」 アクアがようやく顔を上げると、 「うーーーやっほーーーい!!」 「ふえ!?」 いきなり飛びついてきたかと思うと、これまたいきなり手を掴んできた愛梨に、アクアはつい素っ頓狂な声をあげてしまった。 「あたしの名前は愛梨・F・シンフォニア! 姫屋所属のウンディーネで好きな事は運動! 尊敬する人は、灯里さん! いやあ、藍華さんも灯里さんみたいな人だったらなー。あの人二重の意味で頭固いしー。それとそれとーー」 「そ、そんなに矢継ぎ早に言われてもこまります!」 「ごめんなさいね、愛梨はこういう性格だから」 「まったく、愛梨は。アクアが困ってるでしょ」 「ふふふ。いつも元気だね、愛梨ちゃんは」 「ぷぷいにゅ!」
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