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ランチパーティーは賑やかに行われ、より親睦を深めたアクアたちは午後の予約が入っている灯里を見送り、いまはARIAカンパニーに戻ってきていた。
「さて、これからどうしよっか」
と、アイ。
「もちろん合同練習でしょ!」
と、愛梨。
「せっかくの午後を有意義に過ごしたいわね」
と、アイス。
「うんっ、やろう!」
と、アクアが力強くうなずいた。
「そういえばアクアはこっち来てからまだそんなにゴンドラ漕いでないんだろ、大丈夫なのか?」
「うん、マンホームで練習してきたし、ネオ・ヴェネツィアの歴史とか観光名所もちゃんと勉強してきたから大丈夫」
「へっへーん。うちのアクアは私と違って偉いんだよー」
「アイ、それ自分が怠け者だって言っているようなものよ」
「ち、ちがうもん! 私だってちゃんと勉強してるし」
「どうかしら」
「そうだそうだー」
「愛梨が言えることではないと思うけど」
「なにを!」
「まあまあ二人とも。とりあえず練習始めようよ」
「それもそうね」
「よしっ、はじめっか!」
「ところで、合同練習って具体的には何をするの? わたし向こうでバーチャルでしか練習できなかったから」
「例えば、見る相手のゴンドラに乗って揺れ具合を言ったり、観光地の案内練習のときは発声や言葉遣いをチェックしたり、お客様に対する態度・姿勢とか色々あるよ」
「一人じゃわからないことも、二人でやればお互いの長所短所がわかる。人数が増えればそれだけバリエーションも増えるのよ」
水先案内人はこのネオ・ヴェネツィアにとって、観光客との大切な掛橋としてなくてはならない存在だが、その仕事が出来るプリマになるためには、相当の練習をしなければいけない。
「プリマへの道は決して甘くないってこと」
「愛梨にしては良いこと言うわね、驚いた」
「それどういう意味よ!」
いがみ合いを続けていた二人だったが、馬鹿らしくなったかのかアイスがこちらを向いた。
「そういえば、アクアってどのくらいゴンドラ漕げるの?」
「あ、それあたしも気になってた。アイスと来たときには漕いでたらしいけど、まだペアでしょ?」
「ここに来てまだ日にちも経ってないし、ペアなのは仕方ないのでは?」
「チッチッチ、それが違うんだなー」
アイが思わせぶりな態度を取っている。
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