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「アクアのオール捌きを見れば、きっと二人も驚くよ」
「そんなこと言わないでよアイちゃん」
「またまた~謙遜しちゃって」
「謙遜なんてしてないよ」
「あのオール捌きは本当にすごかったな~」
「アイちゃんったら!」
そんな二人のやり取りを見ていたアイスと愛梨だったが、話しに終わりが見えないと悟ると、
「アイがそこまで言うのなら、ぜひ見せてもらいたいわ」
「あたしも見た~い」
「えぇー」
「ほらアクア、観念しなさい」
「もう、アイちゃんたちは・・・わかったよ、じゃあ少しだけ」
「そうこなくっちゃな」
四人は一度停留所に戻ったあと、アクアのゴンドラに愛梨とアイスが乗った。
「さあ、お手をどうぞ」
本番を意識して、実践形式で行うことになり、案内役はアクア、お客役は愛梨とアイスになった。
「--では、ゴンドラ、出発いたします。」
--すうぅ--
「これは・・・!」
「すごいな、いつ漕ぎ出したのかわからなかった」
「ねっアクアちゃんのオール捌きってすごいでしょ」
「ええ、知り合いのシングルの子でもここまで上手なウンディーネはいないわ。それに」
「これ、うちらの先輩たちと比べても全然劣ってないし」
アイスのあとを愛梨が継ぐようにして、アクアの操舵術を褒めた。
「私も最初アクアのゴンドラに乗ったときはびっくりしたよ。こんなにも上手な人は初めてだよって」
「だからアイちゃん、それ言い過ぎだって。マンホームでちょっと練習しただけだから」
「ちょっとって・・・これを見せつけられると、激しい劣等感に苛まれるわ」
「うちらだってすごく練習してるのに、それはないな~アクア」
アクアを見て少しむっとしている二人。
「ご、ごめんねアイス、愛梨! 別にそういうつもりで言ったわけではないの」
そんな二人を見てアクアはあたふたしていた。
「--ふふふ」
「くふふ」
「ほんとにごめんね! ごめんねごめんねごめんねごめ--え? 二人ともどうして笑って」
「「あはははははははは!」」
「え? ど、どういうこと?」
唐突に笑い出した二人に、アクアはただただ驚くしかなかった。
「ふふ・・・ごめんなさい、アクアの反応があまりにも面白くて」
「いやーそこまでテンパってくれると、ひと芝居うった甲斐があるよ」
「え・・・どっきりだったの?」
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