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なかなか彼女-アクアを落ち着かせるには、時間がかかった。
「すみません・・・私、自分のことしか見えてなくて」
「い、いえ。私のほうこそ、待ち合わせの時間に遅れてしまって、ごめんなさい 」
よし、これで解決解決。あとは、
「アイちゃーん」
「ぷいにゅー!」
「灯里さーん、アリア社長ー!」
ようやく、灯里さんとアリア社長が着てくれたようだ。
「もう、待ってたんですよ」
「ごめんね、アリア社長に追いついたと思ったら、迷子になってご両親と離ればなれになっていた女の子がいたから」
「そうだったんですか」
それで、その娘の両親をさがしていたと。
「あの、もしかして『水の三大妖精』の水無灯里さん、ですか?」
とそこへ、アクアが灯里に声をかけた。
「はい、私が水無灯里です。なんかごめんなさいね、待ち合わせの時間に遅れてしまって」
「ぷいぷい、ぷいにゅ」
アリア社長も謝っているようだ。
「い、いえ! この私を新入社員として迎えていただき、本当にありがとうございます!」
「ええと、アクアちゃんですよね。これから、ARIAカンパニーの社員としてお互い頑張ろうね」
「はいっ、よろしくお願いします!」
(わあ・・・憧れのARIAカンパニーに・・・)
とそこで灯里が、
「そういえば、下宿先は決まっている?」
「え?・・・あ!」
そういえば、AQUAに来ることばかり考えていて宿のことなんて全然考えていなかった。
「す、すみません・・・何も考えてませんでした・・・」
(はあ・・・どうしよう・・・)
アクアが落ち込んでいると、
「よかったら、ARIAカンパニーに下宿する?」
「え?」
灯里さんが、ARIAカンパニーに下宿してはと言ってくれた。
「で、でもそんな! ご迷惑をかけるわけには」
「大丈夫。迷惑だなんて思わないよ。アイちゃんは?」
「は、はい! 私は大歓迎です」
(一緒に泊まれる・・・)
アイはつい、顔が緩んでしまった。
「アイちゃんと相部屋になるけどいい?」
願ってもないこと。もちろん断る理由はなく、
「は・・・はい!」
喜んで申し出を受けた。
「じゃあ決まりだね。では改めて・・・ARIAカンパニーへようこそ!」
こうして、アクアのウンディーネとしての日々が始まった。
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