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「日に日に目が見えなくなる」
毎日言うようになった言葉。
自分のことで精一杯な中2の俺
不安にさせられる言葉は
鬱陶しさしかなかった。
「気のせえってば!!」
「だって…」
「見えるならいいやろ!」
俺はイライラして怒鳴っていた。
目が見えなくなるのは
脳の障害だということを
その時、俺はすっかり忘れて
いたのだ。
医者がいっていた
「目が見えなくなったなら、もう寿命が近いと思って下さい」
機械的に喋る医者の言葉。
それを聞きたくなくて
忘れたふりをした、
底に沈めたのは中1の秋。
だから忘れてしまっていた。
冷たい言葉を母に放った
ことに俺は気づかない。
母の悲しい顔も「気のせい」に
した、目を逸らした。
母は「目が…」そう、
いつの間にか呟かなくなった。
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