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今日はお盆。
K作と、その九才の息子Y太は、車で墓へ向かっていた。
K作の妻、つまりY太の母が事故で逝って一年になった。
墓参りを終え、帰ろうとするとY太が
「お父さーん。タコ焼き食べたいな~!」
K作は、このY太の駄々こねに度々悩まされていた。
最初「ダメだ」と言おうとしたが、死んだ妻がタコ焼き好きだという事を思い出した。
「・・・・よし、今日は特別だぞ?」
「わーい!やったー!」
しばらくすると、タコ焼き屋に着いた。
だいぶ空(ス)いていて、待たずに買う事ができた。
また車に乗り込むと、Y太が興奮しながら、言う。
「ね~え~。今食べたいな~。」
やれやれ、と思う。
しかし、今日は特別な日。今日だけは、息子の駄々も許してやろう。
「・・・・全く。ホントに今日だけだからな~?それと、一個だけだぞ。」
と言ってタコ焼きのパックをY太に渡した。
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