少女の罪

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魔物が消えた後には少女の羽根が残る。 羽根の色は漆黒だった。 少女の名は“愛凪(アイナギ)”。 純白の肌に目鼻立ちがしっかりして、愛らしく美しい容姿は母譲り。 容姿から言えば、間違いなく天使だ。 しかし、彼女は闇の国に住むものしか使えない魔法が使える。 漆黒の髪とその力は父譲り。 その身に宿る力は間違いなく魔族。 彼女の存在はその2人の罪の証。 止んでいた風がもう一度、吹き始める。 風に彼女の長い髪はなびく。 「痛っっ!!」 苦痛に顔を歪ませて彼女は地面に膝をつく。 胸の激痛は、背中にまで伝わる。 震える身体は、手で押さえても止めることが出来ない。 「いや‥だ‥‥。」 痛みは容赦なく彼女を襲う。 背中が熱い‥。 力が自分自身の力では押さえ切れなくなる。 バサッ、バサッ″ ついに堪えることが出来ずに彼女の背中からは翼が羽ばたく。 その翼は、闇よりも暗い漆黒だった。 隠していたはずの罪人の証が嫌でも目に入る。 愛凪は天使でなければ、魔族でもない。 その両方に疎まれる存在。 “漆黒の天使”それがこの世界での彼女のようなものの呼び名。 魔族としては甘く 天使としては穢れた半端者。 .
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