混血の地

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天使という言葉を聞いた瞬間 棗は声を荒げる。 「天使がこの土地に何のようだ!!」 「天使の仕事は2つ。 1つ目はさ迷う魂の回収。 2つ目は間(ハザマ)の国を荒らす闇の国の住人にの罪を洗い流すこと 私は後者。 この地にいる魔族を狩りに来ただけ」 「神に仕え、愛された天使が賤しき魔物の血でその身を汚すとは滑稽だな。」 棗は、目の前の少女を見下すように冷たく言い放つ。 「俺は魔族は嫌いだが、それと同等にお前ら天使のことも嫌いだ。」 そういい終えると憎悪の目で少女を見る。 そんな棗を見て少女は微かに笑う。 「私もあなたと同じで魔族と天使のどちらも好きではないわ。 それに“天使”って呼ばれるのも嫌いなの。私は彼らみたいに綺麗な生き物じゃないから‥。」 少女の言葉は矛盾していた。 少女の姿はいかにも光の国の服装で、天使の仕事の為に来たと言っていた。 今の少女の発言は、自分自身の存在を否定している。 「私の名前は、愛凪。 神に愛され無かった天使の1人よ。 これ以上この身にどんな罪が重なっても穢れることはないから。」 少女は棗の憎悪など気にすることなどなく言葉を紡ぐ。 その表情には一瞬だけ陰りがあった。 「お前、混血の天使か‥?」 自身も天使なのに存在を否定すると様子をみるとその答えに自然とたどり着いた。 棗の言葉が耳に入り、愛凪はクスリと笑う。 「混血の天使を見るのは初めてかしら?」 「いや、そう出もない。」 棗は愛凪以外の混血の天使のことをよく知っている。 “混血の天使” それは、天使と他の種族との間に生まれた子を示す。 混血の天使は純真の証の純白の翼を持つことは許されない。 目の前にいる愛凪の容姿は天使に相応しい容姿だ。 しかし、その身に宿る翼の色は他の混血と変わりのない、罪の色で染まっているのだろう。 .
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