第三章「都市同盟の日々」

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ビクトールはリオウの顔を覗きこむ。 笑ってはいるが、リオウにはやはり熊にしか見えない。 「お前、都市同盟に襲われたって事は、ハイランドの人間だな。 ここは、都市同盟の領地で、しかも、俺達はミューズ市に雇われた傭兵だ」 言っている意味はわかるだろう? そう言っているのだ。 ミューズ市は都市同盟の盟主がいる。 首都みたいなものだ。 捕虜として捕らえると言うことだろう。 「まぁあまり心配するな。 悪いようにはしねぇから。」 ビクトールは笑みを深めてそう言った。 悪い人ではなさそうだ。 リオウはそう思いながら、ビクトールの言葉にうなずいた。 **************** 地下牢に人が入った。 それはこの砦では初めてのことだ。 どんな凶暴な奴だろうと思っていたら、少年だった。 そして、捕虜だというその少年の面倒をみなければならなかった。 あまり、自分と年が変わらなさそうだと、ポールは思った。 ビクトールには、「一応、捕虜」と言われている。 地下牢に下りて、少年のいる房の前にきた。 地下牢と言っても、ジメジメした暗い場所ではなく、明るく風通しも良い。 牢のほかに加治屋と倉庫がある。 倉庫番のバーバラさんは、この砦お母さんみたいな人だ。何かとよく自分達の面倒をみてくれる。 少年とは友達になれれば良い。 ポールはそんな事を考えた。 この砦には自分と近い年の人間はいない。 「よう」 柵ごしに声をかけた。 「俺はポール、おまえさんの世話役になった」 気軽にそう言うと相手は頷いた。 「おまえさん、名前は?」 「リオウ……」 「リオウか、よしリオウ! とりあえず明日からおまえさんは、この砦の雑用をしてもらう。 よろしくな!!」
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