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捕虜となって、三日が過ぎた。
砦の中ならば自由に動き回っても良いと言われた。
寝る所は牢屋だが、それもポールが気をきかせて、快適とは言えないまでもそれなりにはしてくれた。
午前は起きて朝食をとり、砦の雑用をポールと一緒に取り組み、午後は自由と言った具合だった。
ポールは雑用をこなしている合間に、この砦の事、決まり事、自分の生い立ちなどを語ってくれた。
戦災孤児だというポールは、ビクトールに拾ってもらったといっていた。
拾ってもらって、自分は幸せものだとも言っていた。
自分も一緒だ。
ゲンカクに拾われていなければ……。
そういえば、ナナミは今頃なにをしているのだろう。
この生活にも慣れてきたせいか、冷静に他の所に最近思考がとびがちだ。
ジョウイの事も気になる。
自分が生きていたのだから、ジョウイも生きている可能性が高い。
明日あたりにでも詳しく事情を説明して探し出したい。
まずポールに話をして、ビクトールに話しをとうしてなんとかしよう。
そう作業をしながら考えた。
「ポール、午後から時間があるかい?」
もうポールとリオウはもう友達だった。
「あぁ、昼からなら暇だけど……何かようか?」
「うん、レオナさんの所で昼飯でも食べながら話すよ」
「わかった」
そう言って、ポールとしていた作業を終えてひとまず牢屋の方に戻った。
ポールは今日の作業の報告書を書くらしい。
******************
国境近くに兵を出してはいない。
そうミューズにたてた使者は返事を持ってきた。
同時に、ハイランド国内では都市同盟が少年兵らを皆殺しにした。
という報告がされ、国民を戦争へと駆り立てているらしい。
「自作自演か……」
フリックはつぶやいた。
情報を全て統合するとそう言うシナリオが浮かぶ。
「噂に聞く狂皇子のしわざだろうな。
まぁ、どっちにしろ俺達の働く場面が出てきたって事だ」
ビクトールが机に足をかけて言った。
「そうだな、お偉いさん達にタダ飯ぐらいなんて言われないためにもな」
フリックはそう返して机に散らばる書類を見た。
こういう仕事はビクトールの仕事だが、ビクトールはやりたがらない。
自分の砦なのにだ。
ミューズ市の市長と幼なじみらしいビクトールは、腹が減ったから金を貸せと言ったら、砦をくれたと言っていた。
自分はその場にいなかったから、本当かは知らないが幼なじみだと言うのは本当らしい。
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