第四章「故郷へ」

8/8
前へ
/208ページ
次へ
そして、霧の巨人が出来上がった。 同時にジョウイは、棒を構える。 リオウ達も、武器を構える音が聞こえた。 リオウはジョウイの横によってきて、ジョウイと同じ態勢で棒を構える。 リオウは、たいていの武器を器用に扱う。 だから比較的簡単に手に入れられる棒を持っていた。 霧がくる。 そう思った瞬間、霧の巨人が燃えた。 巨人は炎に包まれ、霧散してしまった。 「「え?」」 リオウと同時に、ジョウイは呆気に取られてしまった。 「さぁ、行ましょうか……」 リィナが口もとに手をあてつつ笑いながら言った。 その口もとにあてられた手の甲には赤く光る模様が浮かび上がっていた。 紋章だ。 世界には紋章と言う力がある。 「真の二十七の紋章」と言う二十七の紋章をもとにその派生系がいくつもある。 リィナが使ったのは、「火の紋章」だろう。 「真の火の紋章」から生まれた子供みたいなものだ。 「真の紋章」とよばれる27の紋章は世界のもとである。 自らの意思をもち、宿したものに強大な力と不老を与えるといわれる。 だが、「真の紋章」は自らの意思で宿主を決めるため、発見された例は少ない。 しかし、その子供である「火の紋章」などは数も多く比較的簡単に手に入る。店を覗くと普通に売っている。 適性などはあるが、それなりに便利な「道具」ではある。 リィナはその力を使い、霧の化け物を退けたのだろう。 しばらく歩くと峠は終わり、草原に出た。 遠くに街が見える、キャロの街だ。 帰ってきた。 そうジョウイは思った。 懐かしさが込み上げてくる。 ************************
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加