第五章「朽ち果てる村」

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リオウ達とは街の手前で別れた。 ハイランド領での興行は何度か行ったことがあるので、村や街の位置はだいたいわかる。 少しアイリは寂しそうだ。 リィナは歩きながらアイリをちらりとみた。 やはり、アイリはリオウと別れるのが辛かったのだろう。 こういう時、自分は姉としてふがいない気持ちになる。 どういう言葉をかければ良いのかわらかない。 ちゃかして笑い話にでもしたらいいのか。 それとも一緒に悲しんであげれば良いのか。 ごめんなさい、アイリ。 心のなかで謝る事しか出来ないリィナだった。 ************************* 街に入りジョウイと別れた。 ジョウイも自分の家に行くようだ。 ジョウイは簡単に言えば「良い所のお坊ちゃん」だ。 アトレイド家の跡取りなのだそうだ。 自分とは身分が違いすぎる。 そんなことは考えもしなかった。 友達なのだ。 考えるまでもない。 リオウは自分の家のある街の端っこまで走った。 家は道場で今はナナミがいるはずだ。 道場が見えてきた。 道場の中に駆け込んで辺りを確認する。 いない。 ナナミはどこだろう。 裏庭に出てみた。 いた。 ナナミは墓前でかがんで、手を合わせていた。 物音にきずいたのか、こちらをみる。「ただいま」 リオウは息をきらしながら言った。 ナナミが飛び付いてきた。 「心配したんだからね!!」 ナナミはリオウを地面に押し倒して、首根っこをつかみ揺さぶった。 ナナミは昔から少し乱暴だ。 「今、あんた達反逆罪で追われてるんだよ!! たぶんだけど!」 リオウはナナミに、揺さぶられ続けていたのでなにも答えられない。 「あっ!!ジョウイは!?無事なんでしょ!?」 「ナ、ナナミ、苦しい……」 ようやくリオウは言った。 それにきずいたナナミは、リオウから下りた。 「リオウ逃げよう」 落ち着いたナナミは小さな声で言った。 「この街を離れて、他の所に行こう。 じゃないと、リオウが捕まっちゃう」 「でも、ジョウイが……」 「ジョウイも一緒よ!! 当たり前じゃない!!」 「う、うん」 リオウはナナミの迫力に気圧された。 「さぁ、じいちゃんに手を合わせて。 じいちゃん、私達ここを離れるわ」 ナナミはゲンカクの墓の前でかがんで手を合わせた。 「僕達の事見守ってて……」 リオウもそれにならい、手を合わせる。
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