第五章「朽ち果てる村」

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「行こう」 ナナミが言った。 頷き、道場を出る。 「お二人さんどこに行く気だい!!?」 そう聞こえた瞬間、身動きが出来なくなった。 隣でナナミがわめいている。 声の主と目があった。 ラウドだ。 「悪く想うなよ。 よし。 連れていけ」 ラウドはそういった。 自分達を、抑えつけている兵士に言ったのだ。 *********************** 家の前だった。 「お前は……もう、この家の者ではない」 父が言った。 両脇には兵士がいて、ジョウイを拘束している。 「母さんに!!母さんに会わせてください!!一目だけでも……!」 ジョウイは叫ぶ。 「ジョアンナは会いたくないそうだ」 父から言われた言葉が、理解出来なかった。 「嘘だ!!そんなの嘘だ!!」 両脇の兵士がジョウイを連れていこうとする。 抵抗しようとしたが、抗いきれない。 「さようなら、兄さん……。 いや、ジョウイさん」 マルコ……。 父の隣にいた弟の言葉に、力が抜けてしまう。 僕が。 僕が何をやったって言うんだ‥。 ********************** もう、夜中と言っていい時間帯だろう。 ナナミは寝付けないでいた。 地下牢で寝れるわけがない。 石造りでジメジメしている。 蝋燭で明かりをとっているからか、薄暗い。 「リオウ……ジョウイ……」 ナナミはそこにいる、二人を見た。 「なんで……」 二人をナナミは見下ろしていた。 「なんで普通にねてるのよー!!」 思わず、叫んでしまった。 「うるさいぞ!!静かにしろ!!」 見張りの兵が叫んできた。 「うるさいのは貴方よ!喋れないほど静かにしてあげましょうか!?」 「なんだと!?」 「なによ!?」 牢屋の柵ごしに、言い合いを始める。 その声でリオウ達は起きたらしい。 ナナミを止めようと近ずいてきた。 「言わせておけ、近くないうちにこいつらは死ぬんだから」 言い合いをしていた兵の後ろから声が聞こえた。 ラウドだ。 にたにたと笑いながら歩いてくる。 「最後に、反逆者に成り下がった元部下の顔を見に来てやったぞ」 ラウドは笑いながら言う。 「なにを!!」 ジョウイが叫んだ。 顔が怒りに歪んでいる。 ナナミはジョウイのそんな顔を見るのは初めてだ。 「誰のせいでこんな……!」
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