31人が本棚に入れています
本棚に追加
「行こう」
ナナミが言った。
頷き、道場を出る。
「お二人さんどこに行く気だい!!?」
そう聞こえた瞬間、身動きが出来なくなった。
隣でナナミがわめいている。
声の主と目があった。
ラウドだ。
「悪く想うなよ。
よし。
連れていけ」
ラウドはそういった。
自分達を、抑えつけている兵士に言ったのだ。
***********************
家の前だった。
「お前は……もう、この家の者ではない」
父が言った。
両脇には兵士がいて、ジョウイを拘束している。
「母さんに!!母さんに会わせてください!!一目だけでも……!」
ジョウイは叫ぶ。
「ジョアンナは会いたくないそうだ」
父から言われた言葉が、理解出来なかった。
「嘘だ!!そんなの嘘だ!!」
両脇の兵士がジョウイを連れていこうとする。
抵抗しようとしたが、抗いきれない。
「さようなら、兄さん……。
いや、ジョウイさん」
マルコ……。
父の隣にいた弟の言葉に、力が抜けてしまう。
僕が。
僕が何をやったって言うんだ‥。
**********************
もう、夜中と言っていい時間帯だろう。
ナナミは寝付けないでいた。
地下牢で寝れるわけがない。
石造りでジメジメしている。
蝋燭で明かりをとっているからか、薄暗い。
「リオウ……ジョウイ……」
ナナミはそこにいる、二人を見た。
「なんで……」
二人をナナミは見下ろしていた。
「なんで普通にねてるのよー!!」
思わず、叫んでしまった。
「うるさいぞ!!静かにしろ!!」
見張りの兵が叫んできた。
「うるさいのは貴方よ!喋れないほど静かにしてあげましょうか!?」
「なんだと!?」
「なによ!?」
牢屋の柵ごしに、言い合いを始める。
その声でリオウ達は起きたらしい。
ナナミを止めようと近ずいてきた。
「言わせておけ、近くないうちにこいつらは死ぬんだから」
言い合いをしていた兵の後ろから声が聞こえた。
ラウドだ。
にたにたと笑いながら歩いてくる。
「最後に、反逆者に成り下がった元部下の顔を見に来てやったぞ」
ラウドは笑いながら言う。
「なにを!!」
ジョウイが叫んだ。
顔が怒りに歪んでいる。
ナナミはジョウイのそんな顔を見るのは初めてだ。
「誰のせいでこんな……!」
最初のコメントを投稿しよう!