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「お前達のせいさ!!」
ラウドの顔が歪む。
「あの時、あの森で、大人しく殺されていれば、こんな面倒な事にはならなかったんだよ!」
ラウドが、怒りとも笑いともとれない表情で叫ぶ。
それに気圧されたのか、ジョウイは一歩引いてしまう。
「さてと、そろそろ戻るか」
ラウドが後ろを向いて歩き去ろうとする。
「待ちなさいよ!!」
ナナミはジョウイを応戦しようとしたが、リオウに止められる。
「そっちのお嬢ちゃんも、日にちは違うが二人の後を追えるから楽しみにしてな。
後、面倒な裁判もサービスしてやるから期待してて良いぜ」
ラウドは背中越しに言うと、どこかに消えてしまった。
***********************
石畳のでこぼこが振動となって伝わってくる。
こんな田舎街に兄はなんの様があるのか。
ジルは馬車のなかで、その振動を感じながら思った。
兄は何か凄まじい事をしようとしている。
それをとめにきた。
兄が何をしようとしているのかは、知らない。
しかし、止めなければならない。
そう思う。
「姫さま。
前方に人だかりが」
運転手が声をかけてきた。
馬車の窓から顔を出してみる。
確かに人だかりができている。
「なにかあったのですか?」
「確か今日は、反逆者達の処刑があったはずです。
たぶん、それででしょう」
前方から人だかりが、左右に割れた。
そのわれめから、兵士達が歩いてくる。
運転手は馬車を止めて、兵士達に軽くだが敬礼をした。
馬車に乗っているのが私だとわかったのだろう。
兵士達も足を止めて敬礼してきた。
そして、兵士達は流れていき、捕まった者が見えてきた。
二人組だ。
「まだ子供ではないの」
ふと、横まで来たときに言ってしまった。
兵士達は立ち止まり敬礼していくので、その二人も立ち止まった。
「貴女も子供でしょう」
片方の少年は言った。
確かにそうだ。
この二人組と自分はあまり歳は変わらないと思う。
「皇姫さまに向かって!!
口を慎め!反逆者!」
運転手が言う。
「皇姫?
じゃあ、あの狂皇子の妹か。
貴女は……。
では覚えておいてぐたさい。
僕達が王国(くに)を裏切ったんじゃない。
王国(くに)が僕らを裏切ったんだ」
「なにを!!」
運転手が叫ぶ。
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