第一章「始まりの夜」

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「敵襲!!」 叫び声で目が覚めた。 ジョウイは跳ね起きた。 テントの中を見渡す。 リオウはまだ寝ている。 昔から図太いところはあった。 「リオウ!!」 激しく揺すり起こす。 「リオウ!!敵襲だ!起きろ!」 「おい!!」 いきなり隊長が怒鳴り込んできた。 ラウド隊長は、ユニコーン隊を指揮する人でいつも怒鳴ってばかりで、あまり良い印象はもたれていない。 「おい!!都市同盟のやつらこんな辺境に攻め込んできゃがった!!」 怒鳴り声で目覚めたのか、リオウが寝ぼけまなこで直立していた。 「ほかの奴らはまとまって東の森に逃げ込んだ!お前らもすぐに後を追え!!」 リオウは、まだ状況を把握しきれていないのか、戸惑いの色を隠しきれない。 隊長は言うことを言うと、すぐに出ていった。 「リオウ!!行こう!」 「う、うん。 ……東の森……だよね?」 テントを飛びだして走り出す。 所々で火の手が上がっている。 リオウには走りながら状況を手早く説明した。 もう戦争は終わりではなかったのか? 何故? 休戦協定は? 頭の中で次々と疑問が浮かび上がる。 全力で走る。 敵の姿は見えない。 「ねぇ……少し……おかしいよ!ジョウイ!人の気配が全くない……」 確かにそうだ。 今、周りはぱらぱらと木々が生い立ち、森の入口だということ言っていた。 これまで走ってきて、味方も、敵も、見ていない。 本当に夜襲なのか? 「リオウ!!戻って隊長に報告しよう!!」 もときた道をジョウイ達は、走りはじめた。 駐屯地に上がっていた火は消えていた。 それも、おかしな話だった。
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