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「ここから飛び降りよう……」
ジョウイも同じ事を考えたらしい。
「危険だよ!」
そう言うがもう逃げ道はそれしかない。
「リオウ……。
わかってるんじゃないの?」
そうだ、わかっている。
いちかばちかに、賭けてみるしかない。
生き延びる可能性は、それしかない。
だけど……。
「危険だからやめておけ」
背後から声が聞こえた。
振り向くと、ラウドが四人の兵を連れて立っている。
「お前達に万が一でも生き延びられたら、こまるんだよ。
おとなしくここで死んでくれ」
「隊長!!何故僕らを裏切ったんです!」
ジョウイは叫ぶ。
「裏切った?元からおまえらは俺の駒なんだよ」
「くっ!」
唇をかむ音をリオウは隣で聞いた。
ここを、何とかしのがなければ……。
「立ち話はもう終わりだ、やれ!」
ラウドは一歩下がり兵を前にだした。
ラウド自身は、戦う気はなさそうだ。
じわりと、四人が近ずいてくる。リオウは武器を構えた。
得意な得物はトンファーだが、今は剣しかない。
ジョウイはしっかりと、自分の得意な武器を持ってきていた。
棒である。
リオウは兵達をじっと見つめた。
どこか迷いがあるのをみてとれた。
いける。
そう思った瞬間、地を蹴った。
一人に向かって突っ込む。その一人は応戦しようと、剣を振り上げる。
軌道を読み斬撃をかわすと、すかさずわきから一撃を入れた。
防具と防具の間を狙って切った。
手応えはあった。
たぶん死んだろう。
もう一人の兵が横に斬撃を入れてきたので、身を低く構えてかわした。
兵の胸に隙が出来たので、剣を突き刺す。
剣は防具を突き抜けて背中から出ていた。
リオウは、もう剣は使えないと咄嗟に判断し剣の柄から手をはなした。
ジョウイはどうなったかと思い、ジョウイの方に顔を向ける。
ジョウイは、二人を打ちのめした後だった。
「き、貴様ら!!ここでまってろよ!!すぐに増援を連れてくるからな!!」
震えた声で叫びながらラウドは逃げて行った。
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