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彼はずっと寝ていたから、何故ここにいたのか考える時間があった。
その末に俺に用があるのではないかという考えにいき着いたのだ。
まあ、こんな時間まで待っていれば用があるって思うのは当然だけど。
そんなことを思いながら彼を見ると、図星だったのかびくりと大げさなほどに体を揺らした。
「な、んでそんなこと…」
彼は瞳を潤ませながらも何とか言葉を紡いだ。
頭は良さそうなのに、人の考えには疎いらしい。
「何となくだよ。ところで、何でさっき蒼くなったの?」
用件を言わないなら、せめて去ろうとした理由を聞こうと彼の顔を覗き込んだ。
(あ……よく見ると可愛いかも)
改めて見ると彼はその辺にいる女の子より可愛い気がした。瞳は大きいし、何より童顔なのが可愛さを引き立てている。
そんな俺の思考には気付くはずもなく、彼は俺が黙っているのが不思議だったのか、こてんと首を傾げた。
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