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太陽の恩恵を受けて育った黄金色の草原で君は離れないようにと僕の手を握った。
さわさわと草を遊ばせる風が僕の頬も撫でていく。
ふと後ろを見ると、双子の兄弟が追い付こうと頑張っていた。
相変わらずのろまだなと思っていたら、急に君に抱きすくめられて腕に乗せられてしまった。
幼い僕よりも無邪気に笑う君に頬がだんだん熱くなっていく。
まるで君に恋してるみたいだ。
そんなことを思っている間に兄弟が追い付いたらしく、ずるいんだぞと小さな声で訴えながら、ぽすぽすと君の足を叩いていた。
ぬいぐるみがあるからいいじゃないかと言うと、それとこれとは別だよと兄弟はぽこぽこ怒った。
そんな僕たちのやり取りを見ていた君は兄弟も抱き上げ、にこりと微笑んだ。
その行動が気に食わなくて、君は僕のものなんだから僕だけかまえばいいんだぞ、と怒ったら君は何故か嬉しそうに笑みを湛えた。
ほんとに君は、
君は
「……だれ、だっけ?」
「俺?アーサーだけど」
「………え゙」
それが俺、アルフレッド・F・ジョーンズとアーサーの出会いだった。
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