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「ようやく信じる気にな
むにっ
「どこに電池入ってるんだい?」
「俺はおもちゃじゃねぇ!」
夢じゃないならおもちゃ?という結論に行き着いた俺はふいに彼を掴み、目的の物を探し始めた。
しかし、どこにも電池を入れる場所はなく、手の中に収まる金色がじたばたと暴れだした。
圧倒的な差があるのに抵抗を緩めないところをみると、何か策でも
「離せ、ばかぁ!」
いや、負けず嫌いなだけかな
それにしても、手から伝わる温もりは俺と同じものだし、肌なんて赤ちゃんみたいに柔らかくて、とても幻覚とは思えない
というか、彼によく似て――
「って、ほんと誰なんだ…?」
「だから、アーサーだって言ってんだろ」
記憶の中の『彼』が思い出せず、そのもどかしさを声に出すと彼は頬を膨らませながら、名を告げた。
そういや、起きた時も名乗ってたなと思いつつ、彼を見やると眉間に皺を寄せながら俺を睨んでいた。
「ぷっ」
「何で笑うんだよ!」
その行為に全く迫力を感じられず、思わず吹き出すと彼は更に頬を膨らませ、ぽこぽこ怒った。
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