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漆黒に彩られた空間・・・
いや、彩られたと云う表現は可笑しいか。
黒しか無い空間なのだから。
その空間の玉座に座り、跪く悪魔達を眺めながら赤ワインを喉に流し込む。
リリス「傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲・・・魔界を統べる七王の下僕達よ・・・私の力となり、私が憎む全てを壊せ・・・それだけが私の望み・・・」
跪いている悪魔達は微動だにせず、そのままの姿勢だ。
今は本気で言っていないのを知っている七王の下僕達。
動く時を知っているからだ。
ふと空を仰ぐと、やはり無数の悪魔達が、やはり漆黒の空に蠢いている。
リリス「届いたかな神崎・・・私の君に対する悪意が・・・」
神崎にだけ向けたメッセージを送った私。
神崎も私にメッセージを送っていたから、お返しだ。
リリス「わざわざ四柱が揃った事を知らせてくれるとは・・・君もなかなか好戦的だね神崎。」
クスクスと笑い、グラスに残った赤ワインを一気に流し込む。
私と神崎は似た者同士なのかも知れない。
出会いが違ったら、私達は仲良くなれたかも知れない。
ただ
不運にも同じ男を愛してしまっただけ・・・
玉座に座りながら目を閉じる。
暫くすると、瞼に明かりの気配を感じる。
再び目を開けると、そこは私の寝室。
もう直ぐ始まる殺し合いの前に
暫し『人間』の生活を楽しもうか。
私はやはり、クスクスと笑った。
『人間』に拘る、滑稽な魔女の私を自嘲しながら笑った・・・
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