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閉鎖された鉱山、しかも地の王が『隠していた』横穴付近で、人が死ぬようになったのは、ほんのニ、三カ月前からだ。
最初は事故死か病死と思っていた地の王は、それを重要視しなかった。
それから段々と死人が増えて行った。
地の王は冥府の王・・・・
死人が自分の聖域である冥府に来ないのはおかしい・・・・
もしかしたら、『隠していた』おかげで冥穴が解らないのかも知れない。
そう思い、地の王は結界を解く。
事故死か病死か解らないが、死人を然るべき所に送るのは地の王の仕事の一つだからだ。
予想通り、地の王の元に死んだ人間が集まって来る。
―――貴様等は何故死んだ?事故や病気ならば家族の元に、自殺ならば地獄に送り出してやろう。
冥穴にてヒヒイロカネを護る仕事を始めてから久しく本来の仕事をする事に少し喜びを感じた地の王・・・・
しかし、亡者達は地の王を通り過ぎる。
―――む?俺の支配から逃れるとは?
冥府の王でもある地の王は、やはりその性質上、亡者を意のままに従える事ができる。
だが、亡者達は地の王に全く恐れを抱かないばかりか、目にすら入らない存在のように、冥穴の中を進んで行った。
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