四柱、揃う!!

32/32
前へ
/943ページ
次へ
漆黒に彩られた空間・・・ いや、彩られたと云う表現は可笑しいか。 黒しか無い空間なのだから。 その空間の玉座に座り、跪く悪魔達を眺めながら赤ワインを喉に流し込む。 リリス「傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲・・・魔界を統べる七王の下僕達よ・・・私の力となり、私が憎む全てを壊せ・・・それだけが私の望み・・・」 跪いている悪魔達は微動だにせず、そのままの姿勢だ。 今は本気で言っていないのを知っている七王の下僕達。 動く時を知っているからだ。 ふと空を仰ぐと、やはり無数の悪魔達が、やはり漆黒の空に蠢いている。 リリス「届いたかな神崎・・・私の君に対する悪意が・・・」 神崎にだけ向けたメッセージを送った私。 神崎も私にメッセージを送っていたから、お返しだ。 リリス「わざわざ四柱が揃った事を知らせてくれるとは・・・君もなかなか好戦的だね神崎。」 クスクスと笑い、グラスに残った赤ワインを一気に流し込む。 私と神崎は似た者同士なのかも知れない。 出会いが違ったら、私達は仲良くなれたかも知れない。 ただ 不運にも同じ男を愛してしまっただけ・・・ 玉座に座りながら目を閉じる。 暫くすると、瞼に明かりの気配を感じる。 再び目を開けると、そこは私の寝室。 もう直ぐ始まる殺し合いの前に 暫し『人間』の生活を楽しもうか。 私はやはり、クスクスと笑った。 『人間』に拘る、滑稽な魔女の私を自嘲しながら笑った・・・
/943ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46485人が本棚に入れています
本棚に追加