はじまり、はじまり。

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私、メリーさん。 今、貴方の家の最寄り駅にいるの。 脳内でついさっきの通話内容を反芻する。 文の構成、非通知でかかってくる電話。 友人に聞いた「メリーさん」の内容と一致する。 けれど、いたずらだろうと思った。 都市伝説は都市伝説に過ぎない。 現実に起こる訳がない。 そう思う心の片隅で、疑心と不安が渦巻いた。 そんな事を考える内に、夏でもないのに大量の汗をかいている自分に気が付いた。 怖がっている。 不安で仕方ない。 そう暗に示されている様で、少し悲しくなった。 このままでは風邪を引く。 そう思い、Tシャツの替えを出し、ベッドに座り込んだその時。 ピリリリ、ピリリリ、ピリリリ。 3度目の単調なコール音。 画面に表示されていたのは、「番号非通知」の文字だけだった。
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