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嬉しそうな笑顔でどんどん食べろとえんやこら、男性はマイペースに黙々と食べていく。
「傘、無かったの?」
「折れた」
「乱暴に使ったんでしょ」
「乱暴か・・・、まぁそうだな」
「まさかまた?」
「仕事に口は出さないでくれ」
「何よ、こっちはおっかなびっくりであんたの客を接客してんだからね?」
「それは悪かった、だがここぐらいしか居酒屋は知らないんだ」
「ま、儲かるから許す」
「・・・ごちそうさま」
綺麗に完食、食器なども綺麗に重ねてある。・・・几帳面な人。
「もう帰るの?」
「もうここは閉店したからな、迷惑だろ」
「迷惑じゃないけど・・・」
「妥協って知ってるか?」
「ふふ、そうね。・・・あ、傘貸そうか?」
「いや、もう止んだみたいだ」
軽く手を振る女性の顔に笑みが浮かぶ、しかし男は相変わらず無表情。晴れた星空から視線を外す頃にはアンジェの視線からも外れていた、戸から見えるのは空夜の街並み。
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