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凱旋門より北に少し、路地裏の有名店。
シンプルなデザインのエプロンを着てはつらつと店内を行き来する女性、細いテーブルとテーブルの間を難なく通り抜けるその体系や見とれる美しさは店の看板でもある。今夜も店内に爽やかな声が響く、こうして男だらけのパブに華を添えながら酒や料理を運ぶのだった。
「姉ちゃんいつもの!」
「今お持ちします!」
カウンターからトレーとワインを持って小走りになる、歩く度に美脚が見え隠れするスカートなのがこれまた好評。
「俺、明日は休みだから一緒にデートでも・・・」
「残念ですね、私は明日もお仕事なんですよ」
「じゃあ明後日!」
「お客さん、お酒の飲み過ぎですよ」
彼女は爽やかに笑みを残して再びカウンターに戻って行った。もうあしらい方も慣れたもの。
カウンターに戻るとほぼ同時、カウンター向こうのスツールに座る一人の男が居た。きちんとした身なりから思うに、この男は店内に居るような肉体労働者などでは無いようだ。
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