~第一劇~ 仕事帰り

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「いらっしゃい、何にします?」 「酒なら何でも良い」 「は、はい・・・」   男性はトントンと指先でカウンターを叩きながら、暗い視線で急かすように睨んだ。しかし女性は臆する事もなくにっこりと男性に笑いかける。   「・・・最近多いなぁ」   女性は男性が居なくなってからため息、そして少々疲れ気味な目。   「どうしたのアンジェちゃん、恋のなや・・・」 「えぇ!?そうなのアンジェさん!?」 「ち、違いますよ!誤解しないで下さい!」   年寄りの言葉を信じた若い男性が飛びつく勢いで身を乗り出した、女性は焦りながら男性の頭をカウンターの外へ突き返す。 お分かりの通り、彼女の名前はアンジェ。   「そういえば今日は来てないなぁ、あの若もん。今日こそ勝とうと思っとったんに」 「酔っ払いのじじぃにゃ無理だよ」 「わしも後十年若かったら・・・」 「三十年の間違いだろ」 「んなにをぉ~?年寄りを馬鹿にするな~!」 「お客さん、喧嘩するなら外行って下さい」
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