1088人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃい、何にします?」
「酒なら何でも良い」
「は、はい・・・」
男性はトントンと指先でカウンターを叩きながら、暗い視線で急かすように睨んだ。しかし女性は臆する事もなくにっこりと男性に笑いかける。
「・・・最近多いなぁ」
女性は男性が居なくなってからため息、そして少々疲れ気味な目。
「どうしたのアンジェちゃん、恋のなや・・・」
「えぇ!?そうなのアンジェさん!?」
「ち、違いますよ!誤解しないで下さい!」
年寄りの言葉を信じた若い男性が飛びつく勢いで身を乗り出した、女性は焦りながら男性の頭をカウンターの外へ突き返す。
お分かりの通り、彼女の名前はアンジェ。
「そういえば今日は来てないなぁ、あの若もん。今日こそ勝とうと思っとったんに」
「酔っ払いのじじぃにゃ無理だよ」
「わしも後十年若かったら・・・」
「三十年の間違いだろ」
「んなにをぉ~?年寄りを馬鹿にするな~!」
「お客さん、喧嘩するなら外行って下さい」
最初のコメントを投稿しよう!