変人の巣窟

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「な、なにぃ!!!ぼくは認めませんよ!先輩!今すぐ雑賀先輩を焼却炉に捨てていくことをお薦めしま……うぐ!」 「上条黙って。僕は雑賀先輩が演劇部に入って下さったらうれしいなって思いますよ」 別に、雑賀先輩だって上条から先輩を奪うつもりで入部希望しにきたわけじゃないんでしょ……南雲くんはきついパンチを上条くんに浴びせたあと(果たして上条くんは大丈夫なのか?)何事もなかったかのようなさわやかな表情で言った。雑賀は南雲くんを見てふわりと笑う。どうやらこの二人、打ち解けてしまったようである。ところで上条から先輩を奪うって一体どういうことなんだ南雲くん。 体が軽いせいか上条くんの体は南雲くんのパンチによって軽くふっ飛んだ。あばらを何本かやってしまったんじゃないかと心配である。 「……ねぇねぇ」 防災訓練中のあすちゃんがわたしに話し掛けてくる。物語が始まって、やっと喋ったあすちゃんは恐ろしきことをわたしに思い出させたのだった。 「部長ってさ、アレじゃん」 あすちゃんが右手の甲を左頬に当てるポーズをした。要するにアレとはそれのことである(よく分かる話だ)。我らが演劇部の部長にして部内きっての変人である高見先輩。彼は女兄弟に囲まれて育ったせいか、少しばかりオネェ系の男性なのである。演劇部に女はわたしとあすちゃんともう一人、佐津野先輩の三人のみであるという状況から、女役をやることもある。 「ねー、もしかして雑賀、部長に食べられちゃうかも!」 「あすちゃん縁起でもないことを机のしたから言うな!!」 まさかの部活内恋愛、しかもホモとくれば我らが演劇部、本当の変態集団となってしまうではないか。そんなことを考えてしまうあすちゃんもあすちゃんである。
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