60人が本棚に入れています
本棚に追加
変わりたい。
何度同じことを思ったのだろう。
自分の顔を見る度そう思う。
可愛くなれたら…可愛くなれたら…。
でも叶わない。
顔なんてそう簡単に変われない。
ミシッ。
あたしは自分の顔が写る鏡を殴った。
もろい鏡はすぐに罅(ひび)が入り、あたしの顔を歪ませた。
こんな顔…消えてしまえば――
トゥルルル……トゥルルル……
電話だ…。誰からだろう。
あたしは階段を下りてダイニングへ。
トゥルルル……トゥルルル……
部屋で鳴り響く音を納めようと受話器を取った。
「はい、結城です」
『………』
「?…もしもし?」
『………』
何なの?イタズラ電話?
受話器を置こうと手を下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!