60人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、こっちが冬馬でこれが俺」
差し出されたのは写真。
見てみれば幼い頃の冬馬と冬馬に似た人――春馬が立っている。
…確か兄弟がいるって聞いたことがある。
「…へー。急に転校って決まったの?」
「うん、そうなんだ。ばあちゃんが入院しちゃって…。だからこっちに引っ越してきたんだ。よろしくね」
「あ、うん…」
変わった人だなー。
冬馬だったら挨拶もしないだろう。
冬馬と春馬。
違うのは優しさかな。
「それじゃ、行こっか」
「え?…あたしと?」
「当たり前じゃん。学校に行く道わかんないし」
あ、そういうことですか。
「じゃ、道案内いたします…」
「ありがと」
冬馬と顔立ちが似てるせいで少し気まずいけど…。
笑顔は全然違うんだね。
そんなことを思いながらあたしは学校へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!