1.電話

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「ほら、こっちが冬馬でこれが俺」 差し出されたのは写真。 見てみれば幼い頃の冬馬と冬馬に似た人――春馬が立っている。 …確か兄弟がいるって聞いたことがある。 「…へー。急に転校って決まったの?」 「うん、そうなんだ。ばあちゃんが入院しちゃって…。だからこっちに引っ越してきたんだ。よろしくね」 「あ、うん…」 変わった人だなー。 冬馬だったら挨拶もしないだろう。 冬馬と春馬。 違うのは優しさかな。 「それじゃ、行こっか」 「え?…あたしと?」 「当たり前じゃん。学校に行く道わかんないし」 あ、そういうことですか。 「じゃ、道案内いたします…」 「ありがと」 冬馬と顔立ちが似てるせいで少し気まずいけど…。 笑顔は全然違うんだね。 そんなことを思いながらあたしは学校へ向かった。
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