序 章

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かつてこの地はこの世の地獄であった。 魔物の支配する土地だった。 人間の住める場所ではなかった……。 どれほど大きな街を作り、砦を築こうとも、安全な場所とはなり得なかった。 人は獲物でしかなかったのだ……。 もちろん、戦い守ろうとする者はいた。 だが、それは時間稼ぎにしかならなかった。 中級以上の魔物が体内に持つ『核』。それがヤツらの心臓といえたが、人の持つ技・魔術・能力ではその『核』を破壊することはできなかったのだ。 しかし、状況はあるひとつの名を持つ一族の出現によって好転する。 彼らの名はフェルストーク。 これまで不可侵とされてきた魔物の『核』を滅する“抗魔の力”を血の中に有する者たちだった。 人間は、生きる希望の光を見出した……。 激しい戦いの末、魔物は撃退され、人々はその地に国を打ち立てる。 生き残りしフェルストークは王となり、統治者ではなく、守護者としての役割を担うこととなった。 それより数百年、人々は魔物と戦い続け、王族は人々を守り続けた。 そして王国暦432年。 建国以来、最大の危機が訪れる…………。
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