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その瞬間、人とぶつかった。
「のわっ」
「あ、すんま・・・って神城かい」
ぶつかったのは篠浦だった。その後ろには真崎と瀬戸口もいる。
「なんだ、やっぱ気になってたのか」
てっきり先に帰ってたかと思った。
「そら気になるっしょーよ。あんなん見て、気にならほうがおかしいっての」
そりゃそうだな。でも帰ってきたということは・・・
「何もなかった。ただのふつうの桜の木だったよ」
真崎は後ろを振り向く。そこにはなんも代わり映えのしない、冬の桜の木があった。
「あれがなんだったかはわからないけど、とくに問題はないと思うよ。学術的なことが俺たちにわかるわけがないし」
そりゃそうだ。そんなもん、専門的にやってない俺らがわかるわけがない。
「そういうわけだから、俺たちは帰る」
「つまんね~の」
「あんなに綺麗だったのに・・・」
篠浦と瀬戸口は二人でさっさと行ってしまった。
「神城はどうする?」
真崎は一緒に帰るかどうするか聞いてくる。少し考えて、
「いや、俺もちょっと見てくる」
別に信じてないわけじゃないが、自分自身でも確かめてみたい。
「そうか。何もないとは思うけど、一応気をつけなよ」
「ああ。わかってる」
真崎と別れて、俺は桜を見に行く。
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