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「ああもう!しつこい!」
いらいらしながらあたしは周りを飛んでいる使い魔を撃つ。
隣にいる相棒も、無表情に使い魔を斬ってるように見えるけど、内心は相当苛立ってるにちがいない。
相手の使い魔はまるで無尽蔵のように出てきている。そのうち尽きるでしょ、という楽観的な観測はとっくの昔に捨て去った。
だからこっちが消耗しきる前に、早いところこんな世界から抜け出さなくちゃ・・・!
「あんたまだなの!?」
「もう少しだ!」
この世界から抜け出すには、この大魔導師の魂が宿っているとかいう猫にかかっている。
「・・・邪魔」
突然今まで一言も話さなかった相棒が、一言つぶやき身長には似合わない(決して小さい訳じゃない。むしろ長身)その大きな刀を振るう。
その瞬間、直線上にいた使い魔は見える範囲では消滅した。
・・・相当苛立っちゃってるな~。しゃべること自体そんなにしないのに。
敵がいなくなり、少し手が空いたとみるや、猫を見る。
――いや、そんな生やさしいものじゃなかった。まるで人を殺すことができそうな視線で、無言のプレッシャーを与えている。
「も、もう少しだ、本当に!」
そういった瞬間――
バチッという音がしたかと思うと、空間に大きな穴が空いた。
「飛び込め!」
急いで三人(二人+一匹)はその空間の中に文字通り飛び込んでいった――
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